介護をしている高齢者が風邪を引いていた場合、あなたなら入浴をさせますか。ひと昔前までは、風邪を引いたら入浴を避けるというのが定説でした。入浴をしたら風邪が悪化してしまうと言われていたため、入浴はさせずに濡れたタオルで拭いて済ませるのが一般的でした。

しかし、医療の研究が進んだ近年では、考えが変わってきています。そもそも風邪を引いた時に入浴を避けるべきという背景には、入浴後に体が冷えるリスクがあったといいます。

昭和初期の頃などは、脱衣所に暖房が無いのはもちろん、自宅の外にお風呂があったり、お風呂そのものが無く、自宅から離れた銭湯に行かなければならない家庭も少なくありませんでした。そうした時代背景があったこともあり、この定説が広まったと言われています。

現代においては、ほとんどの家庭の自宅にお風呂があります。加えて、浴室内暖房という設備を備えているケースもあります。家電量販店に行けば、脱衣所を暖めるためのミニ暖房機も販売されています。

このように、今は入浴後に体を冷やさないようにする環境を整えることは容易であり、入浴後に冷えるリスクを回避することが可能になっているのです。

要介護者も身体をキレイに洗ってもらい、スッキリしたほうが気分がよくなるものです。さらに風邪の熱の影響で自身の身体が汗でベタついていたら、気分が悪くなり、より具合が悪くなってしまいます。従って、かなりの高熱が出ている時やカゼをこじらせてグッタリしている時以外は、入浴介助を行った方が賢明だといえるでしょう。